ハンドメイドホーム

40代妻、30代夫、4歳娘の日々の日記

町にソファを置いて(夫の日記)

ソファを捨てる。結婚してふたりで買った安いソファには生活が染みついている。夫婦と猫で腰かけていたころから、まだ首がすわって間もない娘を座らせてみたころを経て、娘はソファに立つようになって本棚から本を抜いて遊ぶようになった。うつぶせで眠る娘の垂らしたよだれの跡、徹夜してそのまま眠りこけてしまった朝に娘を抱っこしてリビングに入ってくる妻を仰ぎ見る角度、寝室に寝る妻と娘に風邪をうつさないように厚着してうなされながら寝た夜、友人や親戚が腰かけていた嬉しい休日。

いろんな思い出が染みついたソファをゴミ捨て場に出すと、僕らだけの生活が町に滲みだしたようで、恥ずかしいような誇らしいような気持になったのだった。